ご存知ですか?伝統的な和食器の知識とそのマナー

最近、女性たちの間で伝統的な和のたしなみやマナーが見直され始めています。現代的で、モダンなライフスタイルを過ごすお洒落な女性は、品のある「和」の文化を身につけることで、さらに魅力的に輝きます。また、プライベートだけなく、仕事やキャリアの強みとしても役に立つこともあります。茶道、華道などのお稽古事も素敵ですが、まずは日本人として毎日触れている、身の回りで当たり前に使っている和食器の知識を、さりげなく身につけることから始めませんか?

和食器の基本
2013年、「和食」が世界無形文化遺産に登録されました。その和食の盛り付けを支えるパートナーが「和食器」です。和食フュージョンの流行で洋食器に盛り付けられた和食を目にすることも多くなりましたが、和食器には和食をよりおいしく、美しく盛り付けるための工夫がちりばめられています。

和食には、五法・五味・五色・五適・五覚という基本哲学があることをご存知ですか? もともとは、中国から渡ってきた食の風習と言われていますが、400年以上続く歴史のなかで日本独自の季節の食材、調理法、おもてなしの心が取り入れられ、日本独自の哲学へと変化していきました。調理人たちは和食の完成度を高めるために、これらの哲学を駆使し、そのなかで和食器の選び方にも妥協を許しません。

代表的な和食器の種類と部分名称

和食器は、世界の食器のなかでも類をみない多種多様性があることも特徴です。お椀だけでも何種類もあります。用途別に代表的な和食器の種類をご紹介しましょう。

まず、お椀。汁椀、煮汁椀、煮物椀、蒸し椀、飯椀などに分かれています。蓋が付いた器は、蓋物(ふたもの)と呼ばれています。つぎに、お皿は大皿、中皿、小皿などに大きくカテゴリーされていて、それぞれにさらに細かく豊富な種類があります。たとえば、焼皿、天皿、付出皿、前菜皿または八寸(はっすん)、銘々皿、口変り皿などです。五寸前後の鉢や深皿は「向付(むこうづけ)」といいます。鉢物は、中鉢、預け鉢、めん鉢、菓子鉢、平鉢などに分かれています。とにかく種類が多いのですが、それぞれの違いを見極められると、和食器選びはさらに楽しくなります。

どんな種類・形状の和食器も、部分名称は同じように呼称されています。和食器の種類によっては複雑な部分名称がありますが、まずは代表的な部分名称をご紹介しましょう。

  • 見込み:茶碗の内側全体。茶碗を覗き込んだ内側部分
  • 腰:器の下部から底部または高台までの部分
  • 口縁(こうえん):お椀や器に口をつける器の縁部分
  • 高台(こうだい):碗や皿、鉢などを食卓に置く底部分の基台部分
  • 高台脇(こうだいわき):茶碗の腰から高台までの部分

そのほかにも、糸底、茶溜まり、畳付け、高台裏などの名称もあります。

和食器のお手入れ方法

忙しい食事の準備は時間との戦い。手の込んだお手入れをする余裕なんてないかもしれません。しかし、和のマナーを身につけた女性として一歩リードするためにも、少しだけ以下のポイントに気をつけてみましょう。陶器よりも磁器のほうが、比較的お手入れ方法は簡単です。効率を優先する場合は、磁器の食器がおすすめです。

新しく購入したとき

陶器の場合、大きめの鍋に器がすべて浸かるくらいの水または米のとぎ汁を入れて、購入したばかりの陶器をそのなかに入れます。器がゴトゴト踊らない程度の弱火で、水の状態から30分ほど煮沸します。煮沸後は器を取り出し、自然に冷ましてから水で洗い、しっかり乾燥させてください。煮沸後すぐに水洗いをして冷やすことは避けましょう。磁器の場合、柔らかいスポンジを使って汚れを洗い流すだけで大丈夫です。

毎日のお手入れ方法

陶器に料理を盛り付けるとき、盛り付ける10分以上前から水に浸して、器に水分を吸わせておくと料理の汚れや臭いが器に浸み込みにくくなるといわれています。万が一、器に臭いや色がうつってしまった場合、煮沸をくり返したり、漂白剤を使用したりすれば取り除けます。また、食後の食べ残しを、そのままの陶器にいれたまま冷蔵庫に保存したり、食べ終わった食器を長時間つけ置き洗いすることも避けましょう。食べ残しは別の保存容器に移し替えてください。吸水性の少ない磁器は、料理を入れたまま保存できます。

和食器の使い方とマナー

器を持ち上げるときは、片手ではなく両手で器を取り上げ胸のあたりに持ってきます。そのあと、右手を離して左手だけで器を持って食べます。食事の途中で持ち上げるときも同様です。箸は必ず置いて両手で取り上げましょう。箸をお膳に置かずそのまま器を取り上げるのはマナー違反です。また、左手だけで取り上げることもダブーです。器を卓上で移動させる時は、引きずらないようにしましょう。陶磁器などは器でテーブルを傷付けてしまうことも。必ず両手で取り上げて、位置を移動させてください。

また、器をお膳に料理を並べる定位置があります。配置の前提は「お箸を右手、お茶碗は左手」。基本スタイルは、ご飯は手前左、汁ものは手前右、香の物は真ん中、煮物は左奥、刺身は右奥、焼きものは一番離れた場所に配膳します。

このように、伝統と歴史のなかで美しいしきたりをもつ和食器。楽しみながら基本の知識やマナーを取り入れた生活をはじめてみましょう。

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縁起の良い富士山と扇子のデザインが入った飯椀。

印判 茶碗[arenot/アーノット]

文:山田陽子 Yoko Yamada

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